株式会社Axis Accounting
代表 / 公認会計士・USCPA
吉井 達哉さん

あずさ監査法人でIFRS・US GAAPの実務を積み、KPMGニューヨーク勤務を経て独立。国際会計基準とM&A財務DDを強みに、クライアントの「軸(Axis)」となる会計事務所を経営しています。
公認会計士を目指したきっかけ
── 会計士になろうと思った理由を教えてください。
高校生のとき、父親の勤務先が倒産するという経験をしました。身近で会社が立ち行かなくなる様子を見たことで「手に職を付けたい」という気持ちが芽生えました。それが会計士を目指した直接のきっかけです。
── 大学は法学部を選ばれていますね。
会計の知識だけでなく、法律の知識も持っていたほうが将来の強みになると考えました。慶應義塾大学の法学部法律学科を選んだのはそういった理由からです。
そして何より、法学部に進んだことで得た一番大きな財産は、当時の友人たちとの繋がりです。彼らの多くは弁護士になり、独立した今では、事務所同士でアライアンスを組んでクライアントを一緒に支援する関係になっています。
── 受験勉強はどのように進めましたか?
大学の夏頃からTACに通い、2年間のコースで学びました。学生のうちは誘惑も多いですが、とにかく朝から晩まで自習室にこもって勉強を続けることを意識していました。淡々と継続することが合格への道だと信じて、目の前のことに集中しました。
あずさ監査法人での13年
── あずさ監査法人に入所された理由は?
大手監査法人を複数受けましたが、面接や説明会を通じて最も雰囲気が合うと感じたのがあずさでした。直感的に「ここが合いそうだ」と感じました。その直感は間違っていなかったと思います。当時一緒に働いたあずさのメンバーとは、独立した今でも飲みに行かせていただいています。
── 入所後はどのような仕事から始まりましたか?
1年目から、大手電機メーカーの子会社のUS GAAPコンバージョン業務に携わりました。日本企業がUS GAAPに対応する事例は少なく、手探りで進めることが多かったです。大変でしたが、その分だけ濃い経験になりました。
── マネージャーまで昇格されるにはどのくらいかかりましたか?
スタッフから始まり、シニア、アシスタントマネージャー、マネージャーと、約9年かけて昇格していきました。マネージャーになってからは、パートナーとクライアント、現場メンバーをつなぐ立場になります。全体を俯瞰しながら仕事を回す視点が求められ、また違う面白さがありました。
── IFRS導入プロジェクトも担当されたそうですね。
大手電機メーカー全体のIFRS導入プロジェクトに、数年にわたって関わらせていただきました。検討段階から初年度適用まで、フェーズごとに求められる仕事の性質が変わっていく案件で、論点の洗い出し、既存の会計処理の見直し、そして社内外の関係者との合意形成と、複数の関係者の意見をまとめながら進めていく必要がありました。法人内の品質管理レビューも厳格で、常にプレッシャーのかかる仕事でしたが、監査・アドバイザリーの醍醐味も強く感じたプロジェクトでした。
── 監査以外の業務も経験されましたか?
別のクライアントで財務デューデリジェンス(DD)の業務にも携わりました。監査とは異なるアウトプットが求められ、クライアントに対する見せ方・伝え方の重要性を改めて学びました。
KPMGニューヨークへ
── 海外派遣を志願されたきっかけは何ですか?
当時は監査法人のパートナーを目指していました。そのためにも海外経験を積んでおきたいと考え、派遣を志願しました。選考では電話形式のスピーキング試験(Inlingua)があり、英語の実力を評価されました。
── 英語の準備はどのようにされましたか?
外部の塾等には通わず、監査法人内の英語研修に参加しました。スピーキングに絞って集中的に鍛えたことが、選考通過につながったと思います。
── ニューヨークオフィスではどのような仕事をしていましたか?
KPMGのジャパンデスクに配属され、主に日本企業向けの監査業務を担当しました。約20名の日本人と、外国籍のメンバーが混在する環境でした。
── 米国での働き方はどう感じましたか?
日本のような長期育成型とは異なり、メンバーの入れ替わりが激しく、シーズン途中で転職していく方や、大学院で学び直す方もいました。流動性が高く、良い意味で「仕事と個人」の切り分けがはっきりしています。そういった環境を見て、自分のキャリアをもっと主体的に考えてよいのだと思えるようになりました。
── ニューヨーク滞在中にUSCPAも取得されたそうですね。
US GAAPの全体像を体系的に理解したいと思いUSCPAを受験しました。KPMG USからの補助を使ってアビタスの通信教育を活用し、合格まで約500時間かかったかと思います。US GAAPとIFRS、日本基準を比較しながら考えられるようになり、今の仕事の幅にもつながっています。
独立、そして「Axis」
── なぜ独立を決めたのですか?
ニューヨークで様々なステップアップをしている方たちを間近で見たことが大きかったです。「人生は一度しかないし、自分のやりたいようにやってみよう」と素直に思いました。日本に戻ってから何年か準備して、というよりは、その気持ちが残っているうちに動こうと決めて、帰国後すぐに独立に踏み切りました。
── 「Axis」という名前の由来を教えてください。
「クライアントの軸(Axis)になりたい」という思いを込めています。会計の専門家として、クライアントが意思決定をするときに頼れる存在、ぶれない軸でありたい、と考えています。
── 現在の体制を教えてください。
基本的には私1人で業務を回しつつ、案件ごとに何名かの会計士の方に業務委託という形で参画していただいています。また、日本国内では弁護士事務所や社労士事務所と、海外では現地で日本人が運営している会計事務所とアライアンスを組んでおり、会計・法務・海外対応を一気通貫でご支援できる体制を整えています。営業活動は特段しておらず、多くは監査法人時代の同僚や友人からの紹介で案件をいただいています。
── Axisの強みはどこにあると考えていますか?
3つあります。まずは、大手監査法人とニューヨーク勤務で培った専門性。次に、独立事務所ならではのフットワークの軽さ。そして、外部の専門家との連携によるワンストップ対応力です。どんな相談でも、まずはAxisに持ってきていただければ、何らかの形で力になれます。
── 独立後、実際にどのような業務を手がけていますか?
IFRSやUS GAAPの経験を活かした業務が中心になると想定していたのですが、実際には少し違いました。IFRSコンバージョン業務、上場企業の経理支援だけでなく、ファンドからご依頼いただくDD(財務デューデリジェンス)やPMI(買収後の統合支援)、Exit支援や社外監査役への就任も含めて、会計に関するご依頼を幅広くいただいています。
── 今後の展望を聞かせてください。
信頼のおける会計士等の仲間と共に、対応できる業務の幅を増やしていきたいと考えています。たくさんのお仕事をご紹介いただいていますが、対応できるマンパワーが不足していると感じています。会計士、その他の専門家、海外の専門家との連携を強化し、多くのクライアントのサポートができる体制を構築したいと考えています。会計士の仕事は本当に幅が広いので、そのポテンシャルを活かして、クライアントにとって拠り所となる事務所を目指しています。
国際的な会計基準に関わる仕事を目指す方へ
── IFRS・US GAAPなど、国際的な会計基準に関わる仕事を目指している若い会計人にアドバイスをお願いします。
初めからIFRSやUS GAAPに特化する必要はなく、目の前の業務に一つ一つ丁寧に取り組んでいただければよいと思います。その積み重ねが、必ず将来の力になります。私自身、監査から始まり、DD、US GAAP、IFRS、ニューヨーク勤務と、当初は想定していなかった業務内容へどんどん広がっていきました。
海外経験については、ぜひ積んでほしいと思います。視野が広がり、自分の中の常識が当たり前ではないということが実感できる。それは仕事だけでなく、人生にとって大きな財産になると思っています。
FIRM INFO
事務所基本情報
| 事務所名 | 株式会社Axis Accounting |
|---|---|
| 住所 | 〒104-0061 東京都中央区銀座1丁目12番4号 N&EBLD.7F |
| 電話番号 | 080-4003-6200 |
| メール | tatsuya.yoshii@axis-cpa.co.jp |
| 担当者名 | 吉井 達哉 |
| Webサイト | https://axis-cpa.co.jp/ |

